靖國と若者たち |
世の中にはおもしろいことを研究している人がいるものだなあと感心しました。先日届いた月報『靖國』(靖國神社発行)に「若者は何故みたままつりに集まり過ぎるようになったのか」と題された論考が掲載されていたのを読んだのです。執筆者は博報堂・ブランド研究所・若者研究所リーダーの原田曜平さんという方です。毎年7月に靖國神社で開催される《みたままつり》に大勢の若者たちが集まるようになっている実態を、19歳の男子浪人生のケースと私立大二年生女子のケースの(両者とも参加歴5年)2人の当日の行動と思考を調査・分析するというものでした。
実をいうと私は毎年終戦日と、たまにふらっと参拝に伺うくらいで《みたままつり》に行ったことはないのですが、この調査によるとどうやらこの祭りを若者たちが「多くの友人と会えるちょっとしたパーティー」「どの時代の友達とも会える合同同窓会」と捉えているようで、「みたままつりがどういう主旨の祭りかを知らなかった」あるいは「若者によってはここが靖國神社であることさえ知らないこともある」と記されています。神社脇の駐車場に集まった「若者たちは昔の友人と再会し、地べたに座り、昔話に花を咲かせる」のだそうです。
若者が集まる理由として、近所の祭りだと小中学校の友達くらいしか会えないが、靖國だと都内のどこからも比較的アクセスしやすいため、小学校から大学まですべての友達に会える、というもので、するとこれはおそらく相当な数の若者が集まっているらしい。その数にこそ触れられていませんが、タイトルにある「集まり過ぎる」という意味が呑み込め、驚かされるのです。そして原田氏は「このままでいいのか」と問いかけ、年々ご遺族も戦争経験者の数も減るなか、靖國神社とみたままつりの趣旨を理解し、本来の趣旨で来ている上の世代と若者たちがともに楽しめるような第二ステージにきているのではないか(筆者要約)、と結ばれています。
ふーむ。意味も解らず友達と再会するために集まっていることに憤慨すべきなのか、それとも若者が大勢集まる状況を喜んだらいいのか、難しいところです。自分の幼少の頃を思い返せば、父母に連れられて靖國参拝をしたものの英霊を称えたわけでも真剣にお参りしたわけでもありませんでしたし、地元ではかなり遠くのお宮まで仲間と自転車で遠征するほどお祭り好きでしたが、真面目にお参りしたわけでもなく、町のおもちゃ屋にはない味を持つ露天のおもちゃが目当てだったものです。でもそれは小学生くらいの頃のことで、今回のケースとして挙げられた二十歳前後という年齢としては、自分らの二十歳前後に較べるとかなり幼なすぎる気がします。
私たちの頃は神社の鳥居をくぐると悪魔が憑くと親に教え込まれた創価学会員子弟がいたものですから、今回の件も考えようによっては若者たちが違和感もなく神社に集まり、それも靖國神社にかかわることを畏れず一つの流行のように集まっていることを静かに許容すべきかも知れません。ご英霊のお気持を察すれば、孫やひ孫のような世代が境内に集まってくる様子を眺めるのは悪い気分ではない気もしますし。そのうち彼ら彼女らも分かってくるだろうことを期待しつつ、心広くして待つことにしましょうか。もしかしたら彼らの変化を待つまでもなく、原田氏の提案にあるようにわれわれの側から別世代をつなぐ何らかの名案が浮かぶかも知れませんから。
ところで創価学会様はいつのまにか当たり前のような顔をされて《悪魔が宿るらしい神社》に出入りするようになりましたが、日蓮正宗から破門されて自民党に擦り寄ったせいで、あれほどお大切にされていた《教義》をお替えになったわけですね。なるほど。それならそれで、お元気だという池田大作名誉会長がみずから進んで《折伏大行進》と称して他人の家の神棚を打ち壊したり神々を貶めつづけた過去の無礼と非礼を、日本人に対して心から謝罪すべきではありませんか? それもなく、いつのまにか「ええ、もう行ってもいいことになりましたので」などと言われても、いくら神道がすべてを許容する信仰文化だといっても、われわれ日本人には不愉快極まりないのです。創価学会公明党は攻撃対象を現在『靖國神社』だけに絞っていらっしゃるようですが、あっちは良いけどこっちはいけないと的を絞っていくいつもの卑怯で姑息な手口ですね。これもまた「いつのまにか」そうなっていることが実に腹立たしいのです。さっさと謝罪しなさい。
話は変わりますが、わが国の皇室とも深い繋がりのある英国王室のウィリアム王子が来日されるとのことで、国民にとっても嬉しいことです。その際に訪問する場所を英国大使館が公募しているそうですが、ぜひとも伊勢皇太神宮をお勧めしたいと思います。清浄であり、荘厳にして静謐、早朝の霧ふかき神宮こそ、わが民族のこころの聖地です。殊に内宮は『太陽』そのものをお祀りし、初代神武天皇(かむやまといわれひこのみこと)の五代前の皇祖、天照大御神(つきさかきいづのみたまあまさかるむかつびめのみこと)が日神として昇華されているお宮です。どうかウイリアム王子には神宮を訪問されて、かつて同盟関係にあった日本人の心の真髄を知っていただきたいと思うものです。