レビュー |
「批評家として僕は公平だし正しい男です。僕がほめている間はあなたは大丈夫だと思っておいでなさい」。そう励ました大佛次郎の言葉に大地唯雄は支えられたのだと、読売朝刊『編集手帳創価版』10/31に教えられた。なるほど人間の口から吐かれる言葉ほど極めて厄介なものはないものの、人をよろこばせ救えるのもまた人間の言葉なのだということのようだ。たしかに。
だがそう紹介したのが前任者なら深くうなずけるが当代が書くのだから何の魂胆がありやと嗤いつつ訝るのである。すると本の通販サイトを眺めていた当代が、批評を行うレビューに関して浅く不公正な感想を抱くのだ。曰く、「いい本なのに(小欄の勝手な評価ではあるが)面白い、面白くないといった購入者としての感想ならまだしも、本当に読んだのかどうか、的外れで悪口にしか見えないものまで目立つ位置に掲示され~云々」
あまりネットを侮らぬほうがいいだろう。単なる嫉妬や嫌がらせ根性で書いているものもあるだろうが、ネットにはマスコミでは書けない真実も中にまぎれている。当然マスコミ内部のリークも多いだろう。私はやり方を知らないからレビューとかも何とかちゃんねるとやらもやったことはないが、むしろ「〈公平〉〈正しい〉を欠く人がいることは確か」なのは無名氏よりも名のある連中のほうではないか。悪質な犯罪に手を染めたなら罪を償うまで正義が発動するのだろう。30日の朝日新聞出版の広告で集スト作家二名がうす汚いがん首そろえて出ていたが、先手でも打ったつもりか清水くん。気をつけたまえよ。
嗚呼、稀有なるコラムニストの心が込められたあまたの言葉をもういちど……。